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〝食欲の秋〟だから要注意!
食べる前に思い出したい「糖質」と「脂質」

摂取エネルギーが過多になると生活習慣病のリスクが上昇しますが、なにかと食欲を感じることが多いのがこれからの季節です。食生活の変化によって、ただでさえとりすぎているのが「糖質」と「脂質」です。食べる前、メニューを選ぶ前に一呼吸置いて、とりすぎないようにしましょう。

その他、〝秋〟にはこんな要因も…

  • 夏バテで体重が減った人ほど食欲を感じる傾向にあります。

  • 陽の光を浴びる時間が少なくなると、食欲を抑制するセロトニンの分泌が減少します。

  • 秋から冬にかけて基礎代謝が上がるとともに、食欲は増していきます。

  • 季節の変わり目は寝つきが悪くなる人が増えます。睡眠不足は食欲を増進します。

必要な栄養素なのに…
糖質や脂質をとりすぎるとなぜ悪い?

糖質も、脂質も、身体を動かすエネルギー源であり、人間が生きていくために必要不可欠な栄養素です。糖質はご飯やパンなどの主食、いもなどの根菜類、スイーツや果物などの甘いものに多く含まれ、脂質は油や調味料、乳製品、ナッツ類、菓子などに多く含まれています。手に取りやすい、選びやすい食品が多いため、とりすぎに注意する意識が重要です。
糖質をとりすぎると、余った糖質がインスリンの働きによって中性脂肪として体内にためこまれてしまうだけでなく、血液中の過剰なブドウ糖が血管を傷つけてしまいます。また、脂質をとりすぎると、中性脂肪やLDLコレステロールが増加し、HDLコレステロールが減少します。増加したLDLコレステロールは血管の老化を早めます。糖質も、脂質も、とりすぎると肥満や動脈硬化の原因になるわけです。

健診結果はどうでしたか? 注意したい数値

【空腹時血糖】
100(126)mg/dL以上
血糖値は1日の中でも変化が大きいため、健診ではもっとも安定しているタイミングで測ります。少し高めの状態(100~109mg/dL)でも将来的に糖尿病へ移行しやすいため、注意が必要です。
【HbA1c】
5.6(6.5)%以上
1~2カ月間の血糖値の平均を示しています。空腹時血糖が正常でもHbA1cが高いと、食後に血糖値が急激に上がる血糖値スパイクが起きていることが考えられます。
【LDLコレステロール】
120(140)mg/dL以上
動脈硬化を進行させる悪玉コレステロールです。血管壁に入り込んでプラークを形成し、血液の通る隙間を狭くしてしまいます。
【HDLコレステロール】
40mg/dL未満
末梢組織(血管)のコレステロールを肝臓に回収する善玉コレステロールです。少ないと末梢組織のコレステロールが増えてしまいます。
【中性脂肪(トリグリセライド)】
空腹時:150(300)mg/dL以上
随時(非空腹時):175(300)mg/dL以上
増加すると小さなLDLコレステロールを増やし、HDLコレステロールを減らします。小さなLDLコレステロールは血管壁に入り込みやすく、動脈硬化のリスクがぐっと上昇します。
※( )内の数値は受診勧奨判定値です。この数値以上になったら、医療機関を受診しましょう。

 

食べる前、メニューを選ぶ前に思い出そう
糖質/脂質を減らすコツ

健診結果が正常値の範囲内であっても、悪化傾向にあるようなら少しずつ気をつけてみましょう。食習慣をガラッと変えるのは難しいことですが、早ければ早いほど、ゆるやかな改善でも効果が期待できます。
※特定保健指導の対象になった場合や、医療機関への受診を勧められた場合は、保健師、管理栄養士、医師の指示に従うようにしてください。

● 糖質を減らすコツ ●

  • 主食を減らす

    糖質を減らすためには、主食(炭水化物)を減らすことが必須です。その代わり、主菜・副菜(おかず)は少し多めに食べてもかまいません。ゆっくりよく噛んで、満腹感を得るようにしましょう。
    ※極端な糖質制限がもたらす長期的な体への影響は明らかになっていません。脂質のとりすぎにつながることもあることから、極端に糖質を減らすのはやめましょう。

  • ベジファースト

    野菜やきのこなどの食物繊維は、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。ただし、急いで野菜を食べ終えて主食を食べ始めては効果がありません。ゆっくり食べるようにしましょう。

  • 飲みものの糖質に注意

    体によいことをうたった健康飲料の中にも、多くの糖質が含まれていることがあります。飲む前に成分表示を確認するようにしましょう。お茶やブラックコーヒーなど、無糖のものを選ぶ習慣を。

● 脂質を減らすコツ ●

  • 不飽和脂肪酸をとる

    肉の脂やバターなどの飽和脂肪酸と異なり、不飽和脂肪酸にはコレステロールを下げる働きがあります。さばやさんまなどの青魚、ナッツ類、オリーブオイルに含まれていますので、積極的にとるようにしましょう。

  • 茹でる/蒸す調理法を選ぶ

    調理のしかたでも脂質は異なります。揚げる/炒める調理法は避け、茹でる/蒸す調理法を選びましょう。

  • 見えない油に注意

    日本人が摂取する脂質のうち、約8割が「見えない油」からとっています。見えない油とは、食品自体に含まれている油のことです。パンよりご飯、肉は脂身の少ない部位を選ぶ、インスタント食品や菓子類は減らすなど、注意しましょう。

監修:国立循環器病研究センター 病院 糖尿病・脂質代謝内科医長 槇野 久士

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